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学生は無料!!ロシア演劇事情

ロシア演劇と聞くと、オペラやバレエを思い出す人も多いと思うが、ロシアは芝居のとても盛んな国。上演数は、モスクワだけでも1日50〜60本。劇場数もモスクワだけで100以上と多い。人々は「芝居は芸術というより、庶民のものである」という意識が強く、生活の中の楽しみの一つになっている。

ロシアでは、スピード違反で捕まったドライバーは、「芝居の開演に間に合わせようと思って……」と言うと許してもらえるという。もっとも、本当かどうかは疑わしいが、こんなエピソードが噂されるくらいなのだから、その演劇人気は間違いない。

なぜ、これほどまで演劇に対する意識が強いのだろうか?その大きな理由は、経済危機といわれるロシアにあって、演劇の値段は決して庶民価格(平均10000ルーブル〜15000ルーブル。日本円で200円〜300円。安い!)を崩すことなく、また、モスクワ芸術座ゴーリキーなど大きな劇場でも年金生活者や学生は無料という方針を取り続けていることだ。

このような、演劇界全体の協力による施策によって、生まれてから老いてゆくまで一生芝居を楽しめる環境が出来上がっている。その中で、ドフトエフスキーやチェ―ホフといった偉大な劇作家達が生まれていったのだ。

これに対し、日本の演劇業界は、その場あたりの採算確保に必死である。1公演3000円以上は当たり前、能・歌舞伎に至っては1万円近い。もっとも、劇場費の高さや、財団や行政からの援助不足などにより、それだけのコストがかかってしまうのが現実。しかし、値段の高さで演劇を敬遠する風潮もあり、このままでは演劇文化が一般的な娯楽として認知されることは難しい。

構造改革には、必ず継続的な施策が必要となる。例えばそれが、ロシアのような価格優遇策であったとしても、日本演劇界には、それを実現させるほどの経済的体力がない。この問題は、1つ1つの劇団がそれぞれで資金繰りをする状態ではなく、もっと大きなコミューンとして連結し、国や企業などを動かしてゆかねば、解決はされないようだ。


2001/7/2