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まさに夢の国?ドイツ演劇事情 芸術家、哲学者、音楽家……。世界に誇る偉人を多く輩出した国、ドイツ。当然、演 劇に対する関心の高さは日本とは比べものにならないほど。特に劇場に対する思い入 れは、尊敬に値する。 ドイツにおいて、劇場とは、都市の文化レベルが集約されたものであり、民衆のアイ デンティティの象徴と化している。しかも、それら全てが州の自治体によって成り 立っている。ドイツには国立劇場というものはないのだ。もちろん、州の大きさや予 算の規模も異なるため、劇場の質や規模にはばらつきがあるものの、それぞれが町の 誇りとして存在している。 伝説の指揮者・カラヤンが最初にタクトをふるったのは人口11万人の町・ウルム市 民劇場オペラアンサンブルである。このように訪れる人々も、どんな劇場であれ、最 高の作品を生みだし、市民に提供している。 最高の舞台を作り出すための人材の育成にも力を入れている。ドイツには、20を越 す音楽大学が設立されており、その中に、俳優、舞踏、パントマイム科が作られ、徹 底した教育が行われている。最高水準の訓練を受け、俳優となった生徒は、アゲン チュアと呼ばれる国家資格をもった劇場代理人を通して、新人を求める劇場が紹介さ れ、契約する。俳優業を15年務めると、年金所得資格が獲得できる。これは、「俳 優」が「職業」として認められている証。 気になるのは、就職口。いくら学校を卒業しても、働く場所がなければ成立しない。 ところが、ドイツの一般市民には、観劇習慣が根付いており、劇場の景気は安定。新 たな才能はつねに求められている。また、市民からの援助も少なくない。市民全体が 芸術文化に対して、驚くほどに貪欲なのだ。 日本で演劇に携わる人々から見れば、ドイツはまさに“夢の国”に感じられるだろ う。もっとも、日本においても国立劇団の設立や公立大学の演劇科設置を望む声も出 始めている。しかし、ドイツのように俳優が職業として認められ、生活が保障され、 創造する場所を提供される土壌があるのだろうか――――?
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2001/8/20
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